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喜多川歌麿の浮世絵本・版本はいくらで売れる?美人画の価値を解説

浮世絵・錦絵

喜多川歌麿の浮世絵本・版本はいくらで売れる?美人画の価値を解説

蔵の整理をしていて、和綴じの本や折りたたまれた紙の束が出てきた。開いてみると、着物姿の女性が描かれている。もしその絵が喜多川歌麿の手によるものなら、それは古本ではなく美術品として扱われる品です。歌麿は美人画の絵師として知られ、その評価は国内にとどまりません。この記事では、歌麿の版本や絵本がなぜ高く評価されるのか、査定で何が見られているのか、そして所有者が絶対にやってはいけないことは何かを解説します。虫食いのある古い紙束にしか見えなくても、処分を決める前に読んでおいてください。

歌麿の作品が評価される背景

まず、歌麿がどういう位置にある絵師なのかを押さえておきましょう。

美人画で名を成した絵師

歌麿は江戸時代中期から後期にかけて活躍した浮世絵師で、とりわけ女性を描いた作品で知られています。上半身、あるいは顔を大きく捉えた構図は「大首絵」と呼ばれ、それまでの全身像を中心とした美人画とは異なる表現として受け止められました。表情や仕草の細やかな描き分けが特徴とされます。同じような装いの女性を描きながら、髪の結い方や視線の向き、手の添え方によって別人として見せる。そうした描写の積み重ねが、当時の人々に受け入れられた理由だと考えられています。

こうした位置づけは、美術史の教科書にも記されるものです。つまり歌麿の作品は、単に古い絵というだけでなく、日本美術の流れを説明するうえで欠かせない存在として扱われています。研究の対象であり続けている絵師の作品は、需要が途切れにくいという性質を持ちます。流行によって評価が上下する分野とは、その点が異なるでしょう。名前が定着している絵師ほど、長期にわたって探す人が存在し続けるからです。

一枚絵と版本の両方がある

歌麿の名で残るものには、一枚の紙に摺られた錦絵と、紙を綴じた本の形をした版本の両方があります。額装されている一枚絵は美術品らしい見た目をしていますが、版本は書棚に紛れていることが多く、価値に気づかれにくいのが実情です。表紙は色褪せた地味な紙で、題名の文字も崩し字で読めない。外から見るかぎり、価値を示す手がかりが何もないのです。

本の形をしているからといって、古本屋の領分だと決めつけないでください。中身は木版で摺られた絵であり、扱いとしては浮世絵と同じです。書籍を扱う店と浮世絵を扱う店とでは、読み取れる情報がまったく違ってきます。実際、書籍として一括で引き取られた束の中に浮世絵の版本が混ざっていた、という話はこの業界で珍しくありません。持ち込む先を一つ間違えるだけで、結果が変わってしまう分野なのです。

国際的な需要がある

十九世紀後半、ヨーロッパで日本の美術への関心が高まった時期に、浮世絵は海を渡って広く紹介されました。歌麿の美人画はその中心にあった作品群のひとつとされ、現在も海外の美術館に収蔵されています。この背景があるため、歌麿に関する品は国内需要だけで評価が決まる分野ではありません。

したがって、相談先を選ぶ際は、浮世絵の取り扱い実績があるかどうかを見ておく意味があります。どこへ流していく店なのかによって、提示される金額が変わることもあるからです。国内の収集家だけを相手にしている店と、海外の市場につながっている店とでは、同じ品でも見立てが違ってきます。買取実績を公開しているかどうかは、この点を判断する手がかりになるでしょう。

内容によっては扱いが変わる

歌麿の作品には、当時の風俗を描いたもののなかに、現在の感覚では公開しにくい内容を含むものもあります。こうした分野は取り扱い方針が業者によって異なりますので、事前に確認しておくと話がスムーズに進みます。査定自体を断られる場合もありますが、それは価値の否定を意味しません。扱いの方針の問題です。相談の段階で「こういう内容のものも含まれている」と伝えておけば、対応できる業者を紹介してもらえることもあります。所有者の側で判断して処分してしまうより、まず伝えてみるほうが確実でしょう。

査定で見られるポイント

続いて、実際に何が評価を左右するのかを見ていきます。

ポイント 見られること
色の残り方 退色の程度。紫や藍は変化が出やすい
摺りの時期 髪の生え際や文様の細線がどこまで残るか
版元と刊記 巻末の記載。時代と系統を辿る材料
傷みの程度 シミ・虫食い・折れ。図柄の主要部が残るか

色がどれだけ残っているか

浮世絵の評価において、色の状態は決定的な要素になります。江戸期に使われた顔料には植物から採られたものが含まれており、光に長くさらされると退色していくからです。とくに紫や藍といった色は変化が出やすいとされます。

したがって、同じ図柄でも、色が鮮やかに残っているものと褪せてしまったものとでは評価が大きく変わります。逆にいえば、蔵や桐箱の中で光を遮られて保管されてきた品は、状態が良い可能性があるわけです。押し入れの奥から出てきたものほど期待できる、という言い方もできるでしょう。

注意していただきたいのは、色を確かめようとして明るい場所で長時間広げることです。数時間で目に見えて変わるものではありませんが、退色は積み重ねで進みます。確認は短時間で済ませ、すぐ仕舞ってください。

摺りの時期と細部の残り方

木版は摺りを重ねるほど版木が摩耗し、細い線が鈍くなっていきます。歌麿の作品でいえば、髪の生え際の細線や、着物の細かな文様がどこまで残っているかが手がかりになります。早い時期に摺られたものほど、こうした部分が明瞭に出るわけです。

ただし、この判別は比較対象を知らなければ不可能です。所有者が自分で結論を出そうとせず、写真を撮って専門家に見てもらってください。線の鋭さは画面上の画像では判断しきれない部分があり、実物を手に取れる人の目が必要になります。撮影条件や画面の設定によって、いくらでも印象が変わってしまうからです。似た図柄を探して比べてみたところで、結論は出ないと考えておいてください。

版元と刊記の情報

江戸期の版本には、巻末などに版元の名や刊行年を示す記載が入ることがあります。これを刊記と呼びます。どこが出した本なのかがわかれば、時代や系統を推し量る材料になるでしょう。

読めなくて構いませんので、巻末の数ページは必ず撮影しておいてください。所有者にとっては意味不明な文字の羅列でも、専門家にとっては身元を示す証明書にあたります。この一枚があるかないかで、事前相談の精度が変わります。撮影のコツとしては、真上からの照明を避け、斜めから自然光を当ててください。和紙の質感と墨の線が写りやすくなります。文字部分は拡大して撮っておくと、なお読み取りやすくなるでしょう。

傷みの程度をどう見るか

和紙に摺られたものが二百年前後を経れば、シミ、虫食い、折れ、表紙の欠落があるのが普通です。これらを理由に価値がないと判断しないでください。程度の問題として扱われますし、傷みがあっても図柄の主要部分が残っていれば評価の対象になります。

一方で、水に濡れて紙が固着している、カビが広がって図柄が読めないといった状態では、評価は大きく下がります。判断がつかないなら、現状のまま見てもらうのが確実です。所有者が良し悪しを決める必要はありません。実際のところ、査定士は状態の悪い品も数多く見てきています。その中でどの程度に位置するのかという相対的な判断ですので、素人目に「ひどい」と思える状態でも、まだ十分に評価される範囲だったということは珍しくないのです。

扱いと保管で守るべきこと

ここが最も重要な部分です。良かれと思った行為が価値を消してしまう分野だからです。

手を加えない

シミを抜こうとする、折れを伸ばそうとする、破れを補修する。いずれもやめてください。紙は一度手を加えると元に戻りませんし、素人による補修は評価を下げる方向にしか働きません。汚れて見えても、破れていても、そのままの状態で査定に出すのが正解です。

とくに避けたいのが、水気を使うことです。木版に使われた顔料は水に弱く、濡らせば滲みます。濡れた布で拭くという行為が、その品を決定的に損なうことになりかねません。乾いた布であっても、こすれば紙の表面が毛羽立ちます。埃が気になっても、そのままにしておくのが最も安全な選択です。

光と湿気から遠ざける

査定までのあいだは、直射日光の当たらない場所に置いてください。退色は光によって進みますし、一度褪せた色は戻りません。額に入れて壁に掛けているものがあるなら、この機会に外して保管に回すことも検討する価値があります。

湿気も同様に敵になります。押し入れの床に直接置かず、桐箱があるならその中に戻しておくのが安全です。桐は湿度を調整する性質を持つため、和紙の保管に適した素材として使われてきました。除湿剤を使う場合は、紙に直接触れない位置に置いてください。防虫剤も同様で、薬剤が触れると変色の原因になります。近いテーマでは謎の絵師・東洲斎写楽の浮世絵本はいくらで売れる?希少性を解説も参考になるでしょう。

開き方に気をつける

和綴じの本は背の部分が弱く、大きく開けば綴じ糸が切れたり紙が裂けたりします。机の上に置き、両手で支えながら少しずつ開いてください。立ったまま片手で持って広げるのは避けるべきです。落とせば角が潰れますし、片手で支えれば紙に無理な力がかかります。急がず、机の上で扱ってください。

折本や巻物の形をしているものも、折り目や端から傷みます。何度も開閉せず、必要な撮影を済ませたらそのまま仕舞ってください。確認のために繰り返し開くことが、そのまま状態の低下につながります。家族に見せて回りたくなる気持ちはわかりますが、査定が済んでからでも遅くはないでしょう。判断に迷うときは、だるま3マガジンの喜多川歌麿の浮世絵を高価買取へ導く査定基準と真贋の見分け方も読んでみてください。

一括で見てもらう

歌麿の版本が出てくる家には、他の絵師の作品や和本、掛軸などが一緒に残っていることがよくあります。持ち主が同じ関心で集めていたからです。ジャンルごとに分けたり、良さそうなものを選んだりせず、一箇所に集めて一度に見てもらってください。収集の傾向が見えれば、査定士は見落としを減らせます。この持ち主は絵に関心があった、この分野を集めていた。そうした読みが働くかどうかで、拾い上げられる品の数が変わってくるのです。同じ論点を、だるま3マガジンの【中期浮世絵の魅力と価値】鳥居清長や喜多川歌麿の作品は今も高く評価されるのかでも掘り下げています。

この記事の要点

最後に、押さえておくべき点を整理しておきます。

第一に、歌麿の版本は書籍ではなく美術品として扱われるということ。書棚に紛れていても、相談先は浮世絵を扱える業者を選んでください。一般の古本屋やリサイクル店では、扱う領域が違うため適切に読み取れないことがあります。

第二に、評価を左右するのは色の残り方と摺りの状態だということ。蔵や押し入れで光を避けて保管されてきた品ほど、状態が良い可能性があります。見た目が地味でも、そこに期待の根拠があるわけです。

第三に、刊記の撮影が事前相談を大きく助けるということ。巻末の数ページを撮っておくだけで、専門家は時代や系統の見当をつけられます。読めなくても撮ってください。

第四に、何もしないことが最善の対処だということ。拭く、伸ばす、直す、日に当てる。これらはすべて評価を下げます。傷んだままの状態こそが、その品が経てきた時間の証拠でもあるのです。

第五に、選り分けずに一括で見てもらうということ。所有者の目に価値がありそうに映るものと、実際に評価される品は、しばしば一致しません。良かれと思って処分側に回した箱に、家で最も価値のある一点が入っていた。査定の現場で最も惜しまれるのが、この種の取り違えです。

古い紙束にしか見えないものが、家に残された品のなかで最も高い評価を得る。この分野ではそうしたことが現実に起こります。処分を決める前に、一度専門の業者へ写真を送ってみてください。結果を聞いてから、手放すか残すかを決めても遅くはありません。相談したからといって、その場で売らなければならないわけでもないのです。査定は多くの場合無料で、点数が多ければ出張査定という選択肢もあります。蔵や押し入れから出す作業まで含めて任せられる店もあるはずです。

相続がからむ場合の税務については、税理士等の専門家にご確認ください。

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